デュアルチャンネル
5017 は2チャンネルのデバイスとして使用することができます。
リードシンガーの歌声とギタリストのサウンド、ふたつの信号に伝統のスタジオクォリティーをもたらします。ボーカルマイクをプリアンプとコンプレッサー、そして別チャンネルにDIを通すことができます。特にギターの弾き語りをするシンガーソングライターにはうってつけのツールです。また、ブレンド機能を使うことで、チャンネルが足りない環境でもマイクとDIのシグナルを混ぜて扱うことができます。
コンプレッサーは内部ジャンパーでブレンドした信号かマイクプリの信号のみにするかを設定可能です。そして、Neve 伝統のサウンドをもたらす Silk 回路はボーカルとDIの両方に適用されます。不用な低域を取り除くのに便利なハイパスフィルターはマイクプリの信号にのみ作用します。
ブレンド機能
5017 を楽器用のシングルチャンネルデバイスとして活用する際、DIとアンプのサウンドを混ぜ、位相を整え、さらにコンプレッサーで処理をして出力することができます。具体的には、楽器の出力を直接 5017 のDI入力につなぎ、マイク入力には楽器のスピーカーキャビネットに設置したマイクを接続します。そしてブレンドコントロールでふたつの信号のミックスバランスを決めます。
一般的にこの接続で信号を混ぜた場合、信号伝達経路の違いや接続機器の性能によって時間差が生じ、結果として位相ズレによる信号の打ち消し効果が発生しますが、5017 ではこの問題を解決するためにバリフェイズコントロールを装備しています。この際、コンプレッサーはブレンドした信号にかかるように(内部ジャンパーはデフォルトに)設定しておきます。このテクニックはギターとボーカルを混ぜて出力する際にも有効です。
コンプレッサー
5017 のコンプレッサーは新設計の LDR(Light Dependent Resister)を使用したオプトカプラー仕様のコンプレッサーです。スレッショルドの設定だけで、適度なコンプレッションと自動のゲインメイクアップを実現します。このコンプレッサーは、デフォルトで 2:1 のレシオに設定されています。内部ジャンパーで動作タイムのスタンダード/ファーストを切り替えることが可能です。コンプレッサーが作動したことを確認するには、フロントパネルにあるLEDをチェックしましょう。
バリフェイズ
5017 は一般的なDIと同様、位相反転スイッチを装備します。バリ(VARI)モードに設定した場合、フェイズスイープダイアルで位相を操作することができます。このコントロールはサウンドソースが同じ(で経路が異なる)ふたつの信号を混ぜる際に有効です。例えばドラムのクローズマイクとオーバーヘッドを混ぜる際、どんなに慎重に設置したとしても、まれに音がスカスカした感じになります。これは位相ズレによる打ち消し効果によるものです。この場合、バリフェイズを使用して位相ズレを解消したポイントに設定すれば、信号は正しく、自然になります。
このテクニックは楽器を接続して、5017 でふたつの信号を混ぜる際に大変有効です。とくにベーシストの場合、DIとアンプのマイクサウンドを混ぜることは日常的に行われています。しかし一般的なDIやPAコンソールは位相反転のみを装備しているため、多くの場合、ミュージシャンは設定をエンジニア任せにしてしまいます。そして、エンジニアは正しい位置のマイク設置に時間を割かれます。5017 を用いれば、ミュージシャンでも容易に正しいサウンドを得ることができ、エンジニアはミュージシャンを待たせることなく、次の作業に取りかかることができるのです。
5017 があれば、Portico サウンドはいつでも、どこでも、そこにあります。